祖父母も孫もママも
みんながハッピーになるつき合い方
「トリプルハッピー」

お話 棒田明子先生

最近、積極的に孫の面倒を見てくれる、おじいちゃん、おばあちゃんが増えてきました。ママにとっても安心して預けられる心強い存在ですが、祖父母に子どもを預ける際のポイントや上手な預け方はあるのでしょうか? 子育て&孫育てに詳しい棒田明子先生にお聞きしました。

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祖父母のタイプを見極める

現代は、「子は鎹(かすがい)」ならぬ「孫は鎹」の時代。両親、祖父母は、赤ちゃんが誕生した瞬間から、子どもの健やかな成長と幸せを願い、そこからハッピーの和が広がって、家族みんなを幸せに導いてくれます。私はこれを「トリプルハッピー」と呼んでいるのですが、子どもを中心に誰もがハッピーになれるのです。

子どもにとって、おじいちゃん、おばあちゃんは素晴らしい存在。ゆったりとした時間と触れ合いの中で、知恵のある情緒豊かな子が育ちます。また、祖父母にとっても孫との関わりは刺激的で、暮らしにメリハリがつくというメリットも。

上手に預けるポイントは相手をよく知ること。祖父母のタイプには、「自分が一番」「教育熱心」「イベント好きなほのぼのタイプ」「物を与えたがる」などいろいろですが、祖父母がどのタイプに当てはまるかを見極めて、上手に対応しましょう。

孫の喜ぶ顔見たさに、お菓子やおもちゃを買い与えてしまうケースでは、両家で決まりごとを作るのがポイント。「自分が一番」タイプは祖父母の予定を聞き、合わせるようにしましょう。中には、子どもが苦手なおじいちゃんやおばあちゃんもいます。預けるのは短時間にするなど、負担にならないような気配りを。

ファックスを活用すると確実

預ける際はメールではなく、直接会って約束を交わします。それが無理なら電話でお願いします。電話のあと、文字が残るファックスを送ると確実です(字は大きめに) 。さらに預ける前日には電話で確認します。

両親からは「教育方針に口を出してくる」「世代間ギャップがある」「経験を押し付ける」といった不満。そして、祖父母からは、「預かってくれるのは当たり前、と考えている」「自分の経験を伝えたい」「孫ともっと関わりたい」といった声がよく聞かれますが、祖父母の言うことは全面否定せず、良い知恵は取り入れるという気持ちで大きく受け入れて。いきすぎるときは、新聞や雑誌に出ている情報を見せながら、最近の動向を知らせるのも一案です。

感謝と謙虚な心を忘れずに

子どもを見てくれる人がいるというのは、とてもありがたいことです。実の両親でも、きちんと感謝の気持ちを伝えましょう。「どうもありがとう。とても助かりました」と伝えるだけでなく、「子ども相手だと疲れるでしょう。身体は大丈夫?」とねぎらいの言葉も忘れずに。祖父母の体力も、若いときとは違います。体調を気遣い、感謝と謙虚な気持ちを伝えることで、よりスムーズな関係が築けますよ。

「ハッピー」のカギを握っているのは、やっぱりママ。そのためには、普段からのコミュニケーションが大切。何気ない会話の中で「こんな子に育てたい」といった希望や教育観を伝えておくと、トラブルを未然に防げます。祖父母側にも、孫とこんな風に過ごしたい、という希望がたくさんあるので、そうした情報も知っておくといいですね。

 シンプルにいうと、「子どもには、おじいちゃん、おばあちゃんとの楽しい思い出をたくさん作ってあげましょう」ということです。ママが、それをコーディネートすることで、家族みんながハッピーになれますよ!

孫育てのヒント

  • 「何かしてあげなくちゃ」と考える祖父母がいますが、散歩や買い物、料理など普段の暮らしを一緒に体験するだけでも子どもにとっては新鮮です。昔の遊びを教えられるのも祖父母ならでは。あやとりや折り紙、お手玉、剣玉など、手先を使う遊びは貴重な体験。囲碁や将棋は、観察力と記憶力を養います。
  • 子どもに関する情報を共有しておくと便利。好きな遊びやテレビ、おもちゃや絵本、散歩コース、生活リズムなどを伝えておきましょう。交換ノートを用意すると後々の思い出づくりにもなりますよ。

棒田明子 (ぼうだ あきこ)

1968年生まれ。㈱サン・アート コドモミライ事業部 孫育てアドバイザー。幼少期をほとんど祖父母に育てられる。2児の母。子育ての中で祖父母の重要性を感じ、サイトを立ち上げる。育児サイト「ユウchan」「孫育て上手」編集長。㈶日本助産師会主催「楽しい子育て、孫育て」の講師、道具館・道具アドバイザー。プレイケアリーター。著書に「祖父母に孫を預ける賢い100の方法」(岩崎書店)がある。

取材・文/渡辺里佳