お手伝いは子どもを伸ばす
おもしろいのに ほめられる
だからお手伝い、大好き!
お話 坂本洲子先生
子どもにお手伝いをしてもらうことはありますか? まだ小さいからお手伝いなんてムリ! と思っていたら大間違い。 2 ~3歳の子でもお手伝いは立派にできます。しかもお手伝いには、子どもの成長にプラスになるよいことがたくさんあるのです。子育てカウンセリングにも詳しい坂本洲子先生に伺いました。
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生活の技術が学べて、心も育つお手伝い
勉強やおけいこ事はみなさん熱心ですが、お手伝いは少し軽くみられているようです。でもお手伝いには、よい点がたくさんあるんですよ。
例えば、お手伝いすると「ありがとう」言われ感謝されますね。人の役にたっているという喜びは、精神が安定し、子どもの心を健康に育てます。いつもやってもらっている人(例えばお母さん)に感謝する気持ちや、人への思いやりの心も育っていきます。
また、家の中の仕事は身体を使うことが多いので、動くことを嫌がらない子にもなります。脳の発達にもいいんですよ。お手伝いに失敗はつきもの。失敗したらどうするかも学びますね。これらが身についている子は、知恵のある子といってよいでしょう。
1~2歳になると、お母さんのやっていることを真似るようになります。お母さんのしていることを自分もやってみたいと思う時期です。子どもが好奇心で手を出してきた時、邪魔にせず「ありがとね。お母さんのお手伝いしてくれるのかな?一緒にしてみる?」と手を添えてやらせてみましょう。子どもは得意顔で喜ぶはずです。
工夫次第で、できるお手伝いはたくさん!
お母さんが思っている以上に、小さな子のできるお手伝いはたくさんあります。お手伝いを強制するのではなく、簡単な頼みごとから始めるといいでしょう。
2~3歳なら玩具を片付けながら「そこにあるオモチャを持ってきてくれる?」と頼んだり、新聞を子どもに渡し「これお父さんに渡してくれる?」と頼みます。頼んだことができたら、必ず「ありがとう」や「助かるわ」という感謝の言葉をかけてあげましょう。
幼稚園に入るぐらいの子なら、ペットのえさやり、花の水やり、郵便物をとってくる、テーブルにお茶碗やお皿を並べる。レタスをちぎるなどの簡単な食事作りもできます。プチまな板やプチナイフなど子どもの手に合った道具があれば、料理のお手伝いも本格的にできます。
よほど危険でない限りは、失敗を覚悟で挑戦させてみることです。失敗したら後始末の仕方を冷静に教えてあげればいいのです。「こうすればきれいになるのよ」と言って、雑巾で拭く方法を教えてあげてやらせてみてください。後始末をする姿まできちんと見本をみせて教えれば、小さな子でも「こぼれたら雑巾で拭く」という知恵がしっかり身につくものです。
「お手伝いしたい!」と言ってきた時がベストタイミング
お手伝いで大切なのは、義務づけるのではなく、子どもの自発性をどう引きだしていくかです。お母さんに余裕がないと、ついつい子どもを遠ざけてしまいがちですが、子どもが「やってみたい」と言ってきた時がチャンスと心得ましょう。とくに2 ~3歳の時期は好奇心旺盛ですから、遊び感覚でどんどん覚えていきます。
ただ、洗濯物ひとつとっても大人ほどきれいにはたためません。ペットのえさやりなど、毎日の役割を決めて仕事を与えても、忘れることだってあるでしょう。お手伝いすることを過剰に期待したり、上手にできたらほめるというより、「お手伝いしたい!」と言ってきたその意欲をくんで、「ありがとう」「助かったわ」と感謝の言葉かけてあげることです。
また、ほかの家族に、「○○ちゃんが手伝って作ったサラダなのよ。おいしいね」と、感謝の気持ちを皆でわかちあうと、子どもも認められてうれしいもの。「また、お手伝いしよう!」と思う原動力になります。
(まとめ編集部)
坂本洲子 (さかもとくにこ)
日本福祉大学社会福祉学部卒。1985年ヒューマン・ギルドの設立に参加。アメリカのアドラー・プロフェッショナル・サイコロジー(旧アルフレッド・アドラー研究所)に留学、家族カウンセリングについて学ぶ。帰国後ヒューマン・ギルド心理室長として後進の指導、各種研修、講演、カウンセリング、セラピーを行う。主な著書に「赤ちゃんの心を育てるよい遊び」「赤ちゃんの心を育てるよいしつけ」「幼児期の心を育てるよい食事」(PHP研究所)、「ぼく、お母さんの子どもでよかった」(共著、PHP研究所)、など多数。
取材・文/秋本幸子