うちの子 絵本があまり好きじゃないみたい!

お話 さわださちこ先生

パパやママは、本の好きな子に育ってほしいと願っているのに、絵本を開いてもすぐに飽きてしまう。「うちの子、絵本に興味ないのかしら…」とがっかりしているママに、絵本とのつきあい方と魅力を、絵本コーディネーターのさわださちこさんにお聞きしました。

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手の届くところにいつも絵本がある環境を作りましょう

本が好きになるかどうかは、ほとんどが環境によります。乳幼児のいる家庭なら、すぐ手の届くところにいつも絵本がある環境を作っておくといいですね。それも本箱に背表紙しか見えない状態で「片付けておく」のではなく、リビングのかわいいかごに入れておくとか、下駄箱や箪笥に「絵」として絵本を飾っておくとか、生活の中に絵本があるという感じにしておくのがいいです。

パパ・ママや祖父母など身近な大人が、「はじまり、はじまりぃ~」と楽しそうに読んでくれると、絵本って楽しいな心地いいなと思えるようになるのではないでしょうか。

絵本にはめくる楽しさがあるんですよ

そのまま読むとあっという間に終わってしまう絵本でも、めくる時の「ま」やタイミングを意識すると、楽しさがグーンとアップします。例えば、「(次は)どんな猫さんかなぁ?」とめくりながら楽しみを持っていき、(めくってみると)「あっ、とら猫さんだぁ~」というふうにです。そういうのは苦手という人は、「さて…」でも「どれどれ…」でもいいんですよ。ママが気に入っている本であれば、読むのも一層楽しくなるのではないでしょうか。

ママだけでなく、パパに読んでもらうのも子どもは喜びます。トーンの低いパパの声で読むと同じ絵本でも新鮮に感じるようです。たまに、おじいさん・おばあさんのゆったりした、いつもとは違う声を聞くのも落ち着けていいかもしれませんね。

うちの子、キャラクター絵本をほしがって困ります

親が読ませたい本と、子どもが選ぶ本は必ずしも同じではありません。子どもがキャラクター絵本をほしがってもかまわないと私は思うんですよ。せっかく本屋に連れて行ったのに、「これはダメ!」「こっちにしなさい!」では、本屋に行くこと自体がいやになってしまうし、子どもも「本屋へ行くとママに怒られる」と思ってしまいます。選ばせるなら、買ってあげる覚悟も必要です。

それに、絵本で「教育しよう」などとは思わない方がいいです。子どもはすぐに察知するので、絵本を楽しめなくなってしまいます。気楽に読んであげてほしいですね。

いわゆる名作絵本と言われているものには、これから先、幼稚園や保育園で出会うチャンスがあるので大丈夫。家に本があって楽しく読む環境があれば、絵本を楽しむ心が自然に育っていくのではないでしょうか。

家で読むのと集団の場とでは違いはありますか

集団生活にはルールがあるので、子どもなりにちゃんとしなくてはと感じるようです。またいろんな子がいるので、おもしろいと感じるところや、反応する箇所も違ったりして気づくことも多いんです。何よりも、「静かにお話を聞く」とか「人の話を聞く」ということを楽しみながら覚えていくよい機会ですね。

ただ、大好きなパパやママが、お気に入りの絵本を読んでくれる楽しさは特別のものです。「忙しくて、ゆっくり読んであげる暇がなくて」というママは、出かけるときに小さいサイズの絵本を持っていき、公園やスーパーのベンチで読んであげるのも気分がいいものです。子どものためじゃなく、自分のために「ほっこりした時間」をつくり一緒に絵本を楽しむ。絵本を仲立ちにして、親子でゆったりとした時間を過ごすと考えてみてはいかがでしょうか。

まとめ/編集部

さわださちこ

絵本コーディネーター

幼稚園教諭、書店勤務を経て、読み聞かせ会など絵本イベントのプロデュース、アドバイザーなど、絵本のプロとして幅広く活躍中。著書に『楽しもう!学校図書館ディスプレイ』(全国学校図書館協議会)、『猫を愛する人のための猫絵本ガイド』(講談社)。

取材・文/秋本幸子