子どもに 何を どう食べさせる?

生活リズムを、「食事」から整えてみませんか?

お話 竹中恭子先生

子どもが小さいうちは、食に関する悩みも多いものです。一見「食」とは関係なさそうな悩みも、食べ方で解決できる方法が…。「母乳110番」相談員の竹中恭子さんに聞きました。

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― おなかをすかせるには、外へ出かけるのが一番

 食事をあまり食べてくれないという悩みは多いですね。 「食べてくれない」大きな理由は、当たり前のことですが、おなかをすかせていないからです。母子2人きりで家にいると、ぐずった時につい間食で気を紛らわせてしまいがち。身体を動かさないので当然おなかもすかないですね。おなかがすかないと食べる意欲も育ちません。解決策があるとすれば、「何が何でもおなかをすかせる方法」を考えることです。

 まずは、とにかく刺激のあるところ(外)に出ること。特に子どもが居る場所がおすすめです。子どもは子どもがいるところに出かけるだけで、たくさんの刺激を受けて疲れてくれます。疲れるとおなかもすくし、ほとんどの子はちゃんと食べるようになります。

 最近は、幼稚園や保育園で子育て支援の場がたくさん設けられています。そこにはプロの保育士や先生もいます。子どもは楽しいし、お母さんも悩みを聞いてもらえたりしますし、助けられることがたくさんあると思いますよ。

― もう少しよく噛めるように食事させたいのですが。

 よく噛んで食べさせるには、まず主食をしっかり摂らせることです。あごの発達が気になるなら、ぜひごはんをよく噛んで食べさせてください。

 子どもはハンバーグやマヨネーズ和えなどの軟らかいおかずが好きですが、こうした喉ごしのよいおかずは、噛まずにつるんと喉を通ってしまいます。噛むことを覚えることができないし、喉ごしのよいものは油脂を使っているので要注意。噛めないと野菜ばなれにもつながっていきます。

 噛むための第一歩は、離乳食の食べさせ方にもあるんですよ。離乳食をあげるとき、「赤ちゃんにとってのひとくち」(赤ちゃんの親指第1関節の大きさまでの量)をスプーンに乗せ、唇のちょっと手前におきます。口の中まで入れないで赤ちゃんの方からアグッとしてくるまで待つ。それが咀嚼の第一歩で、食べる意思、その子にとっても生きる力になります。つまり待つことと噛める量がポイントです。

― 野菜をもっと食べてほしい。何かよい方法は?

 生野菜をサラダで食べるご家庭が多いのですが、生より火を通した野菜の方がたくさん食べられるのでおすすめです。一番手っ取り早いのは野菜スープ。離乳食や介護食にもなるし、お肉を入れてボリュウムを出すこともできます。和風、洋風、中華風…と、味付けのバリェーションも豊富で意外にラクです。

 素材の味を覚えさせたいのなら、自然塩だけとか、おだしと醤油くらいの薄い味付けで作ってもおいしいですよ。とにかく、野菜を買ったらきざんで煮てしまうこと。野菜スープはおススメです!

― 寝かしつけも楽になる?食事マジック

 子どもは夜8時までには寝かせたいと思っても、なかなか寝てくれないという悩みは多いですね。夜なかなか寝ないのは、夕食がまだ消化されていないからということもあります。夕食を思い切って軽めにしてみてはいかがでしょう。消化も早まり、おなかがすいて早く目が覚めるので自然と早寝早起きのリズムができ、うそのように寝起きのいい、機嫌のいい子になります。

 帰宅の遅いパパに夕ご飯として作った分を、子どもとママは翌日の朝や昼にしっかり食べるようにすれば手間もかかりません。しかも子どもの朝重く、夜軽い食事につきあっていると、ママのシェイプアップや美容にも効果があります。平日の夕食はそろって食べられない代わりに、朝ごはんを一緒に、休日はパパにたっぷり遊んでもらい一緒に食卓を囲むとか、できるとなおいいですね。

 消化力や内臓が十分に発達しきれていない3歳までの子どもは、食生活を見直すことで、生活リズムが整い、早寝早起きも無理なくできるようになります。だまされたと思ってぜひ試してみてください。

竹中 恭子

電話相談ボランティア団体「母乳110番」の代表、相談員。長女まりものアトピーをきっかけに書いた食物日誌が評判になり『まりもちゃんのアトピーライフ』などまりもちゃんシリーズ4部作を出版。『おっぱいとだっこ』『家族のための〈おっぱいとだっこ〉』(春秋社)など著書多数。イラストレーター、ライターとしても活躍中。母乳、アレルギー、食育、女性の生き方などをテーマに講演などを行っている。

取材・文/渡辺里佳