いつから守れる? どうやって教える?

しつけと「お約束」

お話 前田節子先生

「〇〇しようね」「〇〇しないでね」「ウン!」とお約束したのに、その場になると「ヤダヤダ」……。もう赤ちゃんじゃない、でもまだまだがまんができない2~3才児の「お約束」問題について、ママの気持ちがラクになるヒントをお届けします。

※当サイトの内容、資料、テキスト、画像等の転載、複製、改変等は禁止いたします。

お約束したのに守れないのはどうして?

「ウン!」とお返事しても守れないのが幼児です

「今日はおもちゃ買いませんよ」とお約束したのに、お店でおもちゃを見ると「買って買って」。2~3才ごろにはよくある光景ですよね。

これくらいの年齢というのは、もう赤ちゃんではない、でもまだ大人の言うことがちゃんと理解できるわけでもない、いわば「半わかり」の時期。「そのときはウンと返事はしたけど、見ればやっぱりほしくなる」というのも、発達的にはごく自然な姿かなと思います。

では、お約束はしてもムダなの?

あせらず、でもあきらめず。くり返し経験を積み重ねて

約束したことをある程度守れるようになるのは、だいたい5才ごろから。ただし、その年齢になれば自然にできるようになるわけではなく、やはり小さいときからの積み重ねは必要です。

「ごはんの前には手を洗う」など家庭の中で小さなお約束を決めて守ることは、将来ルールを守れる人になるための大切なステップです。でも、「言葉でお約束すること」と「それを実行できるようになること」の間には、長い長い時間が必要です。

ママやパパの役目は、子どもができるようになるまで、あせらず、根気よく、わが子とつきあってあげること。できたらほめて、できなかったら注意をして。「できるようになるまで頑張ろうね」とあたたかく見守ってあげたいですね。

ついイライラしてしまうことも……

ママの気持ちのゆとりも大事です

人目が気になる場所や疲れているときは、つい感情的になりがちです。そんなときは、ちょっと立ち止まって「いま、ここでの私の目的は何?」と考えてみましょう。

「今日はおもちゃは買わない」を貫くなら、「見たら欲しくなっちゃったのね。でも、今日は買いません」と話して、そこを立ち去るだけでじゅうぶん。不必要に叱り過ぎることなく、買わない約束も守れますね。

いま、できなくてもあせらなくていいんですね

「できなくて当たり前」からスタートすればハッピー!

そもそも2~3才なら、「まだまだお約束が守れなくても当たり前」と思っていたほうがいいかもしれません。「できなくても当たり前」からスタートすれば、ほんの小さな約束でも守れるようになったら親も子もハッピーですよね。

「できない」から「できる」を目指して、一歩一歩。お約束もほかのしつけも、そんな気持ちでやっていくと無理がなくていいかな、と私は思います。

お約束の困りごと・こんなときどうする?

  • 「買って買って」とお店で騒ぐ

まずその場を離れる(見えないところに連れて行く)。そして「ほしい、ほしい」のモヤモヤ気分を切り替える手伝いをしてあげましょう。抱っこで揺する、外をお散歩、状況が許せばかけっこやジャンプなど体を動かすのも気分転換に効果あり。こんなシーンでは、言葉で理解させようとするより、上手に気をそらす作戦がおすすめです。

  • お菓子は1つだけと約束したのに「もっとちょうだい!」

子どもは親が反応してくれると、ますます騒ぐものです。こんなときは、聞こえないふりをしてサラッとスルー。それから笑顔で「絵本を読もうか」など、何か楽しい提案をしてみましょう。

  • ごはんの途中で「デザート食べたい!」

少し大きい子には、「本人に選ばせる」という方法もあります。「デザートはごはんを食べ終わってから。途中でごちそうさまなら、今日はデザートはなし。ごはんを全部食べたらデザートをあげます。どっちにしますか?」。もし、子どもがデザートなしを選んだのなら、親もその選択を尊重して。あとから「今日だけ特別よ」とデザートを出すのはNGですよ。

  • もっと遊ぶ! 帰らない!

約束した時間を過ぎても「やだ、帰らない!」。そんなときは、「もう帰らないとごはん作れないの。ママ困っちゃうな」と語りかけてみましょう。「お約束でしょ」と正論で迫るより、ママの本音を素直に伝えたほうが子どもは案外わかってくれるものです。

前田 節子 Setsuko Maeda

BACP(英国カウンセリング・サイコセラピー協会)認定カウンセラー。

聖心専修学校英文科卒。ゲシュタルト研究所にて長年通訳の仕事に携わった後、自らセラピストになるべく渡英し、催眠、精神力学の資格を取得。帰国後は、独自のカウンセリングシステムを通じて家庭・学校・子どもを総合的にサポートするプログラムを展開。カウンセリングセンターのチーフ・カウンセラー、スクールカウンセラー、各種セミナーや研修会の講師など、幅広く活躍中。

“いつも子どものことに一生懸命なママたち。だからこそ、ママはご自身のことも大切にして、ほっと一息つける時間をつくってくださいね。

取材・文/中島恵理子