好き嫌い、小食、遊び食べ……成長期だからこそ気になります

「子どもの食事」、悩んでいませんか?

お話 山口真弓先生

しっかり食べて、元気にすくすく育ってほしい! そう願って、毎日頑張っているのに、なんだかうまくいかなくて……。「食べるの、大好き!」な子どもに育てるために、親ができることって? ご自身も現在子育て真っ最中の管理栄養士ママにお話を伺いました。

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「ちゃんと、きちんと」の前に、まずは「いっしょに、楽しく」!

「うちの子、ちゃんと食べてくれないんです」と悩んでいるママ、多いですよね。「ちゃんと」の中身は、1日3食しっかり食べてほしい、好き嫌いしないでバランスよく食べてほしい、きちんとお行儀よく食べてほしい、などさまざま。どれもとても大事なことですが、その前にもっと大事なこと、それは、「楽しく食べること」。

ママ自身は食べることが好きですか? 食べることを楽しめていますか? そして、お子さんといっしょに食べていますか?

時には、子どもの食事を用意して食べさせるだけで精いっぱい、自分は後回しということもあるかもしれません。でも、どんなにママが愛情を込めて作ってくれたごはんでも、一人ぼっちで食べるのは味気ないもの。 

食べることへの興味や意欲を育てたいなら、「食べなさい」と言葉で言うより、ママたちが楽しそうに食べる姿を見せるほうがずっと効果的! そばにつきそってお手伝いするだけではなく、どうぞママもいっしょに食卓について食べてくださいね。

「プラスの言葉がけ」で食欲アップ!

子どもといっしょに食べていると、いろいろ気になるところが目について、「早く食べなさい」「ほら、ちゃんとして」など、ついついダメ出ししてしまいがち。でも、これをやると一瞬にして食卓がシーンとして、笑顔が消えてしまいます。ママとしては子どものためを思っての言葉でも、子どもの「食べたい気持ち」はしぼんでしまうかも……。

そうならないためには、ダメなところばかりに注目するのではなく、「今日はこれ食べられたね」「昨日よりいっぱい食べたね」など、子どものいいところ、いい変化を見つけて、どんどん言葉に出してほめてあげましょう。「半分も残して」と言われるより「半分も食べられたね!」とママが笑顔で言ってくれたら、子どもはうれしくて、もっと食べてみようかなと思うもの。子どもにとって、「ママの笑顔はいちばんの栄養!」なのです。

買い物、クッキング……親子で楽しみながら食体験を広げましょう

食べることって楽しいなという心を育てるには、小さなうちから食体験を広げてあげることが大事です。実際に食べることだけでなく、目で見る、においをかぐ、音を聞く、さわるなど、いわゆる五感を使って食べ物とふれあうのも食体験ですし、たとえばトマトを買うのでも、いつも同じスーパーばかりでなく、商店街の八百屋さん、産直所や畑の無人スタンドなど、いろいろなところで買ってみる、そんなちょっとしたことも食体験を広げ、食べることへの興味をはぐくみます。

2歳くらいになったら、クッキングのお手伝いもおすすめ。ママといっしょに作るのが楽しくて、いつもよりたくさん食べられたり、「苦手だったけど、今日は食べられちゃった!」ということもよくありますよ。

悩めるママへ~「がんばり」のハードル、ちょっと下げてみませんか?

  • 子ども用に別メニューを作らなくていい

一生懸命作ったのに、食べてくれなくてガッカリ……。それなら、子ども用に別メニューを作るのはやめませんか? 毎日の食事はそんなに手間ひまかけずに、一汁一菜、それもたいへんなときはごはんと汁物だけでもじゅうぶん。みそ汁やスープを具だくさんにして、ごはんも雑穀をプラスしたり混ぜご飯にすれば、栄養バランスのとれた立派な一食になりますよ。

  • 1日3食にこだわらなくていい

「子どもが食べない」という場合、いちばん多い理由は「おなかがすいていないから」。「朝昼晩、かならず1日3食」にこだわらず、子どものおなかのすき具合によっては2食になる日があってもいいと思います。

時間や回数より、おなかがすくのを待って食べることが大事。しっかりおなかがすく生活になっているか、1日のスケジュールや外遊びの時間なども見直してみたいですね。

  • 苦手なもの=「いまはまだ食べられないだけ」と考える

子どもの好き嫌いは、まだ食体験が少ないだけ。これから味覚が発達するにつれて食べられるようになることも多いので、あまり心配しなくて大丈夫。嫌いな物は無理じいはしないで、でも、食卓からは遠ざけないで、ママやパパが「おいしいな」と食べる姿を見せてあげてくださいね。

山口 真弓 Mayumi Yamaguchi

管理栄養士/WARAリズムアドバイザー/むし歯予防マイスター/健康咀嚼指導士
11歳と9歳の娘がいるママでもあります。(2021.1月現在)
実践女子大学生活科学部卒業後、前職では認知症の専門病院で給食業務を行っていました。
結婚、出産を機に専業主婦へ。妊娠中や産後、食事のこと・栄養のことを再度学び直し、自分の持っている知識やスキルを活かして、何かできることはないかと考え、2010年1月より所沢市の自宅にて乳幼児とそのママ対象の離乳食・幼児食教室、親子料理教室を開講いたしました。

取材・文/中島恵理子