「泣く」「ぐずる」「イヤイヤ」にイライラ……
「子育てストレス」とどう付き合う?
お話 萩原 光 先生
子どもはもちろんかわいい! でも、泣かれたりイヤイヤ言われると、ついイライラ……。「うんうん、わかる!」と思うママは、あなただけじゃないはず。もっと笑顔で子どもと向き合うにはどうしたら…? 子育てママのイライラストレス、その解決策を探ります。
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子育てがきっとラクになる「心の抱っこ」のススメ
子育てで大切なのは、とてもシンプルなこと。それは、「子どもの心を抱きしめること」。心を抱きしめるって、どういうこと? それは、「子どもの気持ちを受け止めること」。
たとえば、子どもが泣き出したとき、「どうしよう?」とストレスを感じるママは多いと思います。それは、「子どもを泣かせるのはいけないこと」「早く泣き止ませなければ」というのが、いままでの子育ての常識だったからです。
でも、実は泣くことは子どもにとって大事な表現方法であり、気持ちを回復する効果もあります。
ですから、状況が許すのであれば、泣きたいだけ泣かせてあげていいのです。「うわーん」と子どもが泣き出したら、泣きたい気持ちもいっしょに受け止めるようなつもりで、ぎゅっと抱っこしてあげましょう。
「イヤだよ~」「うんうん、イヤなんだね」「悲しいよ~」「うんうん、悲しいね」……こんなふうに泣きたい気持ちを思い切りママにぶつけて、しっかりと受け取ってもらうと、子どもはスッキリして自分の力で立ち直っていきます。ママの方も、「泣かせてはいけない」という思い込みを手放すことで、今よりもラクな気持ちで子どもと向き合えるようになるでしょう。
イライラの原因は、ママの中にいる「子どもの私」かも
「そうか。子どもが泣いたら、そのまま受け止めればいいんだ」と頭では理解しても、子どもの泣き声を聞くと、やっぱり心がザワザワ、イライラ。それはもしかしたら、ママ自身が心の中に「泣きたい気持ち」を抑え込んでいるからかもしれません。
ちょっとイメージしてみてください。あなたの中には「2人の私」がいます。1人は、親ならこうすべきとわかっている理性的な「大人の私」。もう1人は泣くことや甘えることをがまんしている「子どもの私」。
大人だって、ときには泣きたくなることもあるし、誰かに甘えたくなることもありますよね。それは、心の中にいる「子どもの私」の自然な感情なのです。
心の中にある「私だって泣きたい。甘えたい」という気持ちに蓋をしてがまんしていると、イライラがたまっていって、わが子の泣き声に過剰反応しやすくなります。子どもの泣き声に「うるさいっ!」と怒鳴りたくなるときは、あなたの心の中にいる「子どもの私」が「私だって泣きたい!」と反応しているのかもしれません。
今日からできる! ママのイライラ対策
ときどき、自分の心の中をのぞいてみましょう。「泣きたい」「疲れた」「もうイヤだ」……そんな気持ちは「子どもの私」の気持ち。それに気づいたときは、「そうだよね。泣きたいよね」「疲れたよね」と、そっと受け止めて共感してあげましょう。「子どもの私」の気持ちをしっかり抱きしめてあげることは、イライラ対策にとても有効です。
「子どもって、いつもほめてもらえていいなあ」と思うこと、ありませんか? 毎日、頑張っていることをいちばん知っているのは、あなた自身です。「家事に、育児に、すごく頑張っているよね」「私、えらい。すごい」と自分で自分を認めて、ほめてあげましょう。
なんだか分からないけど、涙が出てくる。そんなときは、がまんしないで思い切り泣きましょう。子どもはもちろん、大人にとっても「泣くこと」は、自然な自己回復の方法です。泣いたあとは、不思議に心がスッキリしているはず。同様に、笑うこともストレス解消におすすめです。
夫はもちろん、友人や知人、児童館や子育てサークル、保育園や幼稚園の先生……。あなたの話を聞いてくれる人はきっといます。できれば、話を聞いてもらう前に、「ただ、うんうん、と聞いてほしい」「いい悪いと判断したり、アドバイスは控えてほしい」ということをお願いしておくと、より安心でしょう。
萩原 光 Kou Hagihara
子育てカウンセラー。早稲田大学卒。元小学校教諭。千葉県で「シャローム共育相談室」をオープン。開室以来1000組を超える親子の立ち直りを援助するかたわら、雑誌への寄稿や講演会活動等を通じて、「癒しの子育て・親育ち」の普及に力を注いでいる。『ちょっと「気になる子」の育て方』(学陽書房)ほか著書多数。
萩原先生(ぴっかりさん)が運営する子育て応援サイト。
萩原先生の最新刊
『心を抱きしめると子育てが変わる』(主婦の友社)
愛情アドバイスがいっぱい!
取材・文/中島恵理子