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ミネラルたっぷり食生活のススメ

お話 国光美佳先生

「一見バランスよく見える食事でも、実は栄養が不足しているおそれが」と聞くと、「わが家は大丈夫かな?」と気になりますよね。イマドキの食生活にひそむ「ミネラル不足」の問題、そして家庭でできる対策について、専門家の先生にお話を伺いました。

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ミネラルってなあに? どうして大切なの?

ミネラル(無機質)とは、カルシウムや鉄をはじめ、マグネシウム、亜鉛、カリウムなど100種類以上の元素の総称。タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミンと並ぶ、五大栄養素の一つです。

ミネラルは骨などの体の組織を構成するだけでなく、私たちの体内にある「酵素」が元気に働くためにも欠かせない栄養素でもあります。酵素は代謝や消化などの生命活動、さらには心を安定させるセロトニンなどの神経伝達物質の生産にも重要な役割を果たしています。ミネラルが不足して酵素がうまく働かないと、体はもちろん脳の機能や心の健康にも影響が出るおそれがあるのです。

ミネラルを摂る→酵素がうまく働く→神経伝達物質、ホルモン、筋肉などがしっかり作られる→体の各組織や神経の働きが円滑になる→体の調子が整い、心が安定する。

現代食はミネラルが不足しがち?

このように重要な働きを持つミネラルですが、実際に私たちの身近にある市販食品を調べてみると、ミネラル量が乏しいものが多く見られます。なぜ昔に比べて現代の食生活は「ミネラル不足」になりやすいのでしょう?

主な原因の一つに、水煮食品や精製食品の増加があげられます。食物に含まれる栄養素は、加工されることでどんどん抜け落ちてしまいます。水煮加工されてミネラルが抜けた野菜、精製によってミネラルが失われた植物油や塩など、身近な食材に含まれるミネラルは昔に比べるとあきらかに乏しくなっています。

海に囲まれた日本では、昔から煮干しや昆布でだしをとったみそ汁、小魚や海藻のおかずなど、ミネラル豊富な食事を日常的に食べてきましたが、今は食生活の内容も大きく変わってきています。バランスよく食べているつもりでも、実はミネラルが足りていない場合もあるという視点は持っておきたいですね。

食事を見直すことで「困った」が改善することも

「落ち着きがない」「低体温」「便秘」「極端な偏食」……子どもたちのこうした症状の陰にもミネラル不足が隠れている場合があると、私は考えています。実際に、子どもたちの日々の食事に、「煮干し、あご、昆布など天然のだしを粉末にしたもの」を用いてミネラル補給をしてみたところ、「落ち着いて座っていられるようになった」「便秘が解消した」など、ママたちを悩ませていた症状が改善したというケースにたくさん出会ってきました。また、大人の方からも「ミネラルをとるようにしたら、冷え性や睡眠障害などの不調がラクになった」という声が寄せられています。

家族みんなの健康はミネラルたっぷりの食卓から。忙しいご家庭でも無理なくできる取り組みを紹介しますので、ぜひ、できることから実践してみてくださいね。

実践編

今日から始める! ミネラルたっぷり食生活

ステップ1

今までどおりの食事に「かけて、混ぜて」ミネラルアップ!

  • 食事の内容は今までどおりでOK。まずはいつものメニューに、「天然粉末だし」をかけたり混ぜたりすることから始めましょう。子どもなら1日大さじ1杯程度がめやす。スーパーのおそうざいやカップラーメンにも、スプーン1杯の粉だしをプラスしてみて。
  • 主食は白米に雑穀や豆を「混ぜる」、良質のエクストラバージンオリーブオイルをスープやおかずなどに「かける」と、より効果的です。
(レシピ)

おうちで作れる!「自家製・天然粉末だし」

煮干し(頭ごと)6、あご(トビウオ)3、昆布1の割合でミルミキサーにかけて粉末にします。

煮干粉、あご粉、昆布粉を買って、好みで混ぜて使ってもOK。

市販の粉末だしを使う場合は表示を確認して、素材以外のうまみ成分や化学調味料を含まないものを選びましょう。

ステップ2

ミネラル豊富な食材を取り入れて健康な食卓づくり

「かける」「混ぜる」でだしの味に慣れてきたら、次は食生活全体の見直しにチャレンジ!

  • ミネラル豊富な食品を食事やおやつに取り入れましょう
    (ミネラルが豊富な食材)
    小魚や貝類(煮干し、めざし、ししゃも、しじみ、あさり、かき)
    海藻(こんぶ、のり、わかめ、ひじき)、
    豆類(そば、ごま、玄米、雑穀、大豆、大豆食品)
    木の実(くるみ、アーモンド、栗)
  • 小魚は骨ごと、野菜は皮ごと使うなど、できるだけ食材まるごと食べましょう。(一物全体食)。
  • 食品添加物のリン酸塩には、せっかく摂ったミネラルを体外に排泄してしまう働きがあります。加工食品を選ぶときは表示を確認し、なるべくリン酸塩が使われていないものを。

国光美佳 Mika Kunimitsu

大妻女子大学家政学部児童学科卒。幼稚園教諭、学童保育所、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」勤務を経て、「子どもの心と健康を守る会」を設立。発達障害、低体温、うつ症状等のミネラル補給による改善例の発信、日本各地での食育講座や講演、執筆等を通じて、子どもの食と心の健康を守る活動を精力的に展開中。共著に『食べなきゃ、危険!』(三五館シンシャ)、『発達障害にクスリはいらない』(マキノ出版)など。

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取材・文/中島恵理子