先の見えない不安やストレスを上手に乗り切る

ママの心がラクになる3つのヒント

お話/公認心理師・子育て相談室主宰 永瀬春美先生

何かと落ち着かない日々が続く中、子育てを頑張っているママたち、本当におつかれさまです。でも、頑張っているからこそ、心がもやもやすることもきっとあるはず。今回はそんなママたちへのねぎらいの気持ちを込めて、心がほっとゆるんで元気がでるメッセージをお届けします。

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先が見えない世の中。いろいろ不安です…

「きっと大丈夫」と自分に向かって言ってみて

コロナ禍が長引く中、それまでの「普通」とは違う環境での子育て。お母さんたちがいろいろ不安になるのは無理もないことです。

でも、子どもって大人が考えるより意外に柔軟でたくましいもの。「マスク姿で赤ちゃんに笑いかけたら、赤ちゃんはにこっと笑顔を返してくれた」という話を聞くと、子どもは相手の口元が見えなくても、さまざまな方法で情報を補って表情を読む力があるのかなと感心します。

先にならないとわからないことはあるけれど、子どもたちの育つ力を信じて、今は今できることを精いっぱいしていけばいい。私はそんなふうに思っています。

どんな時代であっても、子どもにとっていちばん大切なことは「安心を感じられる大人がそばにいてくれること」です。3.11の震災のとき、子どもたちと避難をしていたある保育士さんは「先生がいるから大丈夫だよ」「何があっても先生が守るからね」と言い続けたそうです。本当は自分もすごく怖くて、子どもを守り切れるのか不安でいっぱいだったけれど、と。

いろいろ不安になったときは、「不安だよね。でも、きっと大丈夫」と自分に語りかけてみませんか?

子どもにやさしくできないと落ち込みます…

「自分の限界を超えて頑張らない」を大切に

子どもにイライラしてしまうのが悩みというお母さん、多いですよね。「余裕があるときはゆったり子どもに付き合えるんだけど、余裕がないとついカッとなってしまう」という話をよく聞きます。そうですよね。余裕があればできる。それなら、積極的に余裕を作る工夫をしませんか?

ごはんは手作りじゃなくてもいいし、掃除だって毎日でなくてもいい。もちろん片付いていないとイヤとか、ごはんはどうしても手作りでとか、人それぞれこだわりはあると思うので、「自分はどこなら許せるか」をまずは考えてみましょう。

SNSで素敵なママを見て落ち込む? でも、あれはその人の素敵な一瞬を切り取ったもの。そこだけを見て、「私はダメ」と落ち込む必要はないですよね。人はみんな得意不得意も違えば、体力も気力も違うので、誰かと同じようにできなくていい、「私は私」でいいんです。

「人それぞれ。私は私」「自分の限界を超えて頑張らなくてもいい」ということを、言葉ではなく親の生き方として子どもに見せてあげてほしい。そうすれば、子どももきっと「頑張ることも、ほどほどに力を抜くこともできる人」「ちゃんと自分を守れる人」に育っていくと思います。

つらくても「助けて」と言えません…

あきらめないで何度でも。わかってくれる人に出会うまで

「つらいときは一人で抱えずに誰かに相談して」とよく耳にしますが、「相談したけど無駄だった。かえって傷ついた」といった声を聞くこともよくあります。勇気を出してS.O.Sを出したのに、全然わかってもらえなければ「二度と相談なんかしない」と思ってしまう。それはそうですよね。

けれども、どうかそこであきらめないで、別の人に助けを求めてみてほしい。わかってくれる人に出会えるまでチャレンジしてみてほしいんですね。

この人がダメでも次の人、近くの相談室がダメならオンライン相談…とねばりづよく頑張ってみて、その結果「わかってくれる人に出会えた!よかった!」という経験を持てたら、わが子にも「大丈夫。きっとあなたをわかってくれる人に出会えるから」と自信をもって語れますよね。

やがては自立してゆく子どもたちには、「困りごとを一人で抱えず、助けてと言える人」になってほしいもの。そのためにも、周りの大人が上手に人に相談したり頼ったりする姿を幼いころから見せてあげてほしいなと思います。

永瀬春美 Harumi Nagase

千葉大学教育学部(看護)卒。東京学芸大学大学院教育学研究科(学校保健学)修了。公認心理師。養護教諭、大学・専門学校の講師、電話相談員等を経て、現在はNPO法人子育てひろばほわほわ顧問、「子育て相談室いっぽ、いっぽ」主宰として、子育て中のママやパパ、それを支える人たちを応援する活動を続けている。

HPではメール相談(無料)も受け付けています。

取材・文/中島恵理子